賃貸物件で孤独死が発生したら?入居者募集時の告知義務は「次の入居者」まで?
賃貸オーナーの方から、「入居者が室内で孤独死してしまった。次の募集の際、いつまで告知しなければならないのか」というご相談をいただくことがあります。売却時の告知義務についてはご存知の方が増えてきましたが、賃貸として貸し出す場合のルールは、売買とは異なる部分があります。今回は、賃貸物件における告知義務の考え方を整理します。
賃貸の告知義務は「次の入居者まで」が原則
国土交通省の「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」では、賃貸借契約における告知義務について、次のような整理がされています。
- 自然死・日常生活の中での不慮の死は、原則として告知不要
- 発見が遅れ、特殊清掃や大規模リフォームが必要になった場合は告知が必要
- 自殺・他殺・火災による死亡などは、事案発生からおおむね3年間は告知が必要
- 上記の期間を経過した後の入居者に対しては、原則として告知義務がなくなる
つまり、賃貸の場合は「事案発生後、最初に入居する借主」に対しては経過年数にかかわらず告知が必要となる一方、その次の入居者以降については、上記の期間が経過していれば告知が不要になるという整理です。売買と比べて、告知が必要とされる期間が明確に区切られている点が特徴です。
「最初の入居者」への告知は経過年数に関係ない
注意したいのは、事案発生後、最初に入居する借主に対しては、たとえ数年が経過していたとしても告知義務があるという点です。「もう2年経ったから話さなくてよい」という判断は誤りで、最初の入居者には必ず事実を伝える必要があります。
一方、最初の入居者が数か月で退去し、次の入居者を募集する場合は、発生からの経過期間を通算して判断することになります。この通算の考え方を誤ると、告知義務違反として後々トラブルになるおそれがあるため注意が必要です。
問われたら答える義務は経過年数に関係なく続く
告知義務の原則的な期間が過ぎていても、入居希望者から「過去にこの部屋で人が亡くなったことはありますか」と直接尋ねられた場合は、経過年数にかかわらず、把握している事実を伝える必要があるとされています。オーナー自身が「もう告知期間は過ぎたから黙っていてよい」と考えるのはリスクが高く、問われた際には誠実に対応することが求められます。
管理会社・仲介会社との情報共有も重要
孤独死などの事案があった場合、その情報がオーナーから管理会社・仲介会社にきちんと引き継がれているかどうかも重要なポイントです。情報共有が不十分なまま募集を続けてしまうと、意図せず告知義務違反の状態になってしまうことがあります。事案発生時の記録(発生時期、特殊清掃の有無など)を書面で残し、管理体制の変更があっても引き継げるようにしておくと安心です。
告知が必要な期間、貸し続けるべきか
告知義務のある期間は、家賃を下げても入居が決まりにくく、空室期間が長引く傾向があります。そのため、
- 告知期間中は家賃を調整しながら賃貸を続ける
- 告知義務の負担が大きい場合は、事故物件の扱いに慣れた買取業者へ売却する
という2つの方向性で検討されるオーナーが多くいらっしゃいます。とくに複数の物件を保有し、管理の手間や空室リスクを避けたい場合は、早期に売却してしまう方が、精神的にも経済的にも負担が軽くなるケースが少なくありません。
まとめ
賃貸物件における孤独死などの告知義務は、「最初の入居者には必ず告知」「その後はおおむね3年」という整理が目安になりますが、通算の考え方や、問われた際の対応など、判断に迷う場面も多くあります。管理・募集を続けるべきか、売却してしまうべきか迷われている場合は、事故物件・訳あり物件の扱いに慣れた専門業者へご相談ください。事情を丁寧にお伺いしたうえで、適正な価格での買取をご提案いたします。
